Karthikeya (Telugu)

2.5
Karthikeya
「Karthikeya」

 2014年10月24日公開のテルグ語映画「Karthikeya」は、低予算で作られたホラー映画である。閉ざされた寺院の謎や、寺院に関わる人が次々に蛇に噛まれて死んでいく事件などを巡って展開する。この規模の映画としてはヒットとなり、映画賞の受賞もしている。

 監督は新人のチャンドゥー・モーンデティ。キャストは、ニキル・スィッダールタ、スワティ・レッディー、タニケッラ・バラーニー、ラーオ・ラメーシュなど。

 鑑賞したのは、YouTubeでGoldmineが配信しているヒンディー語吹替版「Ek Ajeeb Dastan Shaapit」である。オリジナルのテルグ語版に比べて上映時間が短いが、おそらくソングシーンなどがカットされていると思われる。

 カールティク(ニキル・スィッダールタ)はハイダラーバードの医科大学で学ぶ学生で、迷信を科学で解決することに自信を持っていた。最終年になったカールティクは、医療キャンプのためにスブラマニヤプラム村へ行く。その村にあるスブラマニヤム寺院は過去1年間閉ざされており、その寺院に関わった者は次々に蛇に噛まれて死んでいたため、村人たちは恐れて近付こうとしなかった。

 そんな迷信は信じないカールティクは寺院の謎を解こうとする。彼より前に寺院を調査し、蛇に噛まれて死んだシャンカルの手記を手に入れるが、謎は深まるばかりだった。また、蛇がカールティクを襲おうとしたため、彼はそれを捕まえ、研究所に送る。研究者の話では、蛇はカールティクを襲うように催眠術に掛けられているとのことだった。カールティクは寺院の事情に詳しい、タンジャーヴールの僧侶の元を訪ね、寺院の由来を聞く。

 スブラマニヤプラム村に戻ったカールティクは、彼らの小間使いをしていた男が殺人に関わっていたことに気付き、彼を追い詰めるが、転んで頭を打ち、死んでしまう。全ての謎を解くためには寺院に入るしかないと決めたカールティクは単身乗り込む。そこにいたのはプルドヴィという男だった。彼が語ったところでは、スブラマニヤム寺院には巨大なダイヤモンドが祀られており、それを盗むために村人たちの間に迷信を広め、寺院を閉鎖させたのだった。カールティクの活躍により再び寺院が開かれたが、彼は全てが科学では説明できていないことに気付いていた。

 ホラー映画には大別して2つの種類があるといえる。ひとつは、本当に幽霊などを登場させて怖がらせるファンタジー性の強いもの、もうひとつは心霊現象などの種明かしをし、科学やトリックなどで説明するものである。「Karthikeya」は基本的に後者のタイプのホラー映画であった。

 主人公のカールティクは理系学生の頂点である医学生であるし、全ての問題は科学的に解決できるという自信も持った人物であった。彼は、医療キャンプで訪れたスブラマニヤプラム村にある閉鎖されたスブラマニヤム寺院の謎を科学的に解明し、村人たちの迷信を振り払う。

 種明かしに使われていた種のひとつは動物催眠だった。スブラマニヤプラム村では、スブラマニヤム寺院について調べようとした者が次々に蛇に噛まれて死んでおり、カールティクも蛇に狙われる。だが、彼がその蛇を捕獲して調べたところ、動物催眠に掛かっていたことが分かる。カールティクの衣服の匂いなどを使って、訓練した蛇に催眠術を掛け、何者かが彼を襲わせていたのである。

 こうなってくると、呪いと思われていた現象は人間の仕業であることが分かり、誰が黒幕なのかが話題になる。結局、スブラマニヤム寺院に納められた巨大なダイヤモンドの盗難を狙った一味の犯行であることが明らかになるのだった。

 ただ、監督がまだ未熟なこともあるのだろう、全体的にまとまりを欠いていた。不必要な場面を長引かせ、スリルが出そうな場面を短く切り上げてしまっていた。ヒットした理由がよく分からない。

 ちなみに、スブラマニヤムとは、タミル・ナードゥ州で特に信仰されている神様で、ムルガン、クマール、スカンダなどとも呼ばれている。シヴァ神の息子カールティケーヤとも同一視されており、この映画の題名及び主人公の名前にもなっている。また、ヒンドゥー暦の第8月をカールティク月といい、10月~11月にあたるが、映画の中ではカールティク月の満月の日にスブラマニヤム寺院に月の光が差し込み、ダイヤモンドがその光を増幅させて寺院全体をまばゆく照らすとされていた。

 テルグ語映画ながら、ロケの大部分はタミル・ナードゥ州で行われたようだ。劇中でスブラマニヤム寺院として登場する寺院は、「寺院の町」として知られるクンバコーナムにある寺院とのことである。

 「Karthikeya」は、テルグ語のホラー映画であり、低予算ながら、興行的にも批評家的にも評価されている映画である。ただし、なぜヒットしたのか分からないほど単調な映画である。ただ、ヒンディー語吹替版を観たので、テルグ語を理解する人がオリジナルをテルグ語で鑑賞したら違った印象になるのかもしれない。この続編になる「Karthikeya 2」が2022年8月13日に公開されている。